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zoom RSS 「走り」への思い

<<   作成日時 : 2007/12/16 00:15   >>

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 スロットルを開けろ、いっきに加速!加速!さらに加速!メーター100キロ超!

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         走り屋を始めた当初乗っていた、ヤマハFZR250。

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         2台目のホンダNSR250R。

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         スクリーンの“大垂水”の文字。

 かつて、“走り屋”をやっていました。今回は、一般の方にはもちろん、普通のライダーにとってもなじみのうすい、この走り屋に関して、少しお話してみたいと思います。

 走り屋というのは、峠などのつづら折りになった道をサーキットに見立て、一定区間を行ったり来たりしながら、コーナリングの技術を磨く人たちのことです。

 彼らは、同じカーブを何十回、何百回と走るので、身体がコーナリングの感覚を覚えてしまい、ついには信じられないようなスピ−ドで走れるようになるのです。

            *        *        *

 ここで、オートバイそのものについて、少しお話したいと思います。

 オートバイは、
  右手でスロットルレバー(アクセル)と、前輪ブレーキレバー、
  左手で、クラッチレバー、
  右足で、後輪ブレーキペダル、
  左足で、ギアチェンジペダル、
 というように全身を使って操作する乗り物です。

 また、オートバイは、カーブを曲がる際、四輪自動車のようにハンドル操作で曲がるのではなく、車体を傾けて(バンクさせて)曲がります。したがって、「曲がること自体」に、それなりの技術が必要となります。そのため、運転技術の未熟な初心者などは、曲がることに強い恐怖感を覚えます。

 オートバイには、俗に「見た方向に行く」と言われる特性があります。すなわち、自分が曲がろうとする方向をしっかり見ていないと、うまく曲がれないのです。カーブを曲がる際には、カーブの出口の方をしっかり見ること、そして、「絶対曲がるんだ!」という強い意志と勇気を持つことが必要です。

 コーナー(カーブ)にさしかかった時、恐怖心から、コーナーの出口の方向を見ずに、つい正面を見てしまったりすると、もはや軌道修正できません。その時は、ガードレールに向かって一直線です。

 ゆっくり走れば絶対安全かと言えば、そうでもない。早ければ危険かと言えば、これも必ずしもそうとばかりは言えない。リスクの多少は、ライダーの勘とテクニックに負うところが大きいのです。このへんが、ライダーにとっては魅力であり、チャレンジャー精神をかきたてられるところです。

 オートバイは、全身を使って操作しなければなりません。また、その高いリスクは、技術的な鍛錬と不屈の闘志をもって、これを克服する必要があります。すなわち、オートバイとは、肉体と精神のすべての能力を総動員してこそ、真にその走りを楽しむことのできる、そういう乗り物なのです。

 それは、「無機質な金属のかたまり」という実態を超え、あたかも生き物を操るような感覚をもって、乗り手を魅了します。オートバイが“鉄の馬”と言われる所以です。

            *        *        *

 さて、走り屋の話に戻ります。

 といっても、ほとんど僕個人の話です。

 しかも、場所的には、大垂水峠(おおだるみとうげ)限定です。

 大垂水峠は、東京都と神奈川県の境をなす、高尾山系の一峠です。

 その峠道は、国道20号線(甲州街道)です。国道とはいっても、このあたりでは上下1車線づつの狭い、曲がりくねった山道です。

 走り屋のコース(峠道のある一定区間)は、峠の頂上をはさんで、東京側と神奈川側に各一個所(主なもの)あり、僕の行っていた当時は、みな東京側を走っていました。

 東京側コースは、スタート地点を出るとまもなく緩い右カーブがあり、そのあとは、ほぼ直線の道が2〜3百メートル続きます。そしてその先に、このコースの最難関、第一コーナーが控えているのです。この第一コーナーは、ほぼ直角に近い左急カーブで、その前の直線が長くスピードが出やすい分、ブレーキのタイミングなど技術的にむずかしい部分があるところです。コース中最も危険な個所でもあります。

            *        *        *

 僕は今、東京側コースのスタート地点にいます。もうすぐスタートします。


 スタート!=ウォーン!

 緩い右カーブを抜け、直線へ。

 はるか先に待ちかまえる、獲物(左急カーブ)を見すえる。

 この瞬間!この瞬間ほど僕がピュアになる瞬間はない!

 目をカッと見開き、全神経を集中する。

 気分は高揚し、闘志がふつふつと湧いてくる。

 頭からは、すべてのことが消える。

 家のこと仕事のことその他すべてが。


 スロットル(アクセル)を開けろ、いっきに加速!

 加速!

 さらに加速!

 メーター100キロ超!

 まるで、弾丸になったよう。

 急カーブが迫ってくる!

 脳裏をよぎる死の恐怖。

 スロットル(アクセル)緩めるか?

 もう限界だ!

 ブレーキ!=ガツンガツン!

 クラッチを切る、=ウォン〜

 左を!コーナーの出口をにらむ!

 後輪ロック、=するすると後輪が右へすべる、車体が左へ傾く。

 よっしゃあ、スロットル(アクセル)開けろ!

 左に傾いていた車体が、勢いよく起き上がる(立ち上がり)。

 第二コーナーに向け、加速!加速!、また加速!=ウォーン・・・。

            *        *        *

 こうして一日何十回も、同じ所を行ったり来たり。

 ただひたすら、走り続けます。

 日が暮れるまで、走ります。

 そして日が暮れると、まるで申し合わせたように、みんないっせいに帰り始めます。

 その様子を見ていると、童謡「夕やけ小やけ」のメロディーが頭に浮かんできます。

 夕やけ小やけで日が暮れて〜♪

 「遊び疲れた子供たちが、家で待つ母親のもとに帰っていく」、そんな情景を彷彿とさせるような光景です。

 「走ることが大好き」ということ以外は、みんな普通の若者たち(主に十代)なのです。

            *        *        *

 走る楽しさ。

 仲間同士の語らい。(ここに集う者は、みな仲間。戦友みたいなものなんです)

 季節ごとに変化する美しい自然・・・。

 ・・・幸せでした。

 ここで、僕は間違いなく生きていました。輝いていました。


 危険は百も承知していました。

 そりゃ誰だって死にたかありません。

 だけど、「こうして死ぬんだったら、しかたないかな」っていう気持ちもあるにはありました。


 しかし、ぬくぬくと生きて、こんなごたくを並べている現在の自分が、

 このようなことを言うのは、不謹慎なことかもしれません。

 ここで、多くの人たちが、現実に生命を落としているのですから。


 今の僕にできることは、ただ彼らの冥福を祈ることだけ、

 そして、事故に巻き込まれた多くの方々に、

 ご迷惑をおかけしたことを、おわびするだけです。


 亡くなられたみなさん、安らかにお眠りください。

 ご迷惑をおかけしたみなさん、まことに申しわけありませんでした。

            *        *        *

 一生やめられないと思っていた、「走り屋」ですが、

 あることがきっかけで、きっぱりやめました。

 みずしらずの若い女性ライダーに、こっぴどく叱られたのです。

 最初は彼女の言うことに、反発を感じていました。

 しかし、彼女から(たとえ事故を起こさなくても)、いかに他人に迷惑をかけているかを教えられ、

 また彼女が、どこの誰ともわからぬ僕のようなものの生命を、

 本気で心配してくれているのを知り、

 やめる決心をしたのです。

            *        *        *

 僕は、それ以後、普通のツーリングライダーになりました。

 大垂水峠を走っても、もはや走り屋のようなまねはしませんでした。

 そして現在は、事情があってオートバイを降りています。


 ただ、今も、四輪自動車で走っていて、峠のコーナーのような、

 美しいカーブに出会うと、

 血が熱くなるのを感じてしまいます。


 大垂水峠には、めったに行けなくなりました。

 しかし、空想の世界では、いつでも大垂水峠を駆け回っています。

 僕の魂は、大垂水峠にあるのです。



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飛ばし屋のコーナリング
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飛ばし屋のコーナリング
2010/03/06 07:43

コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
旅人さんにとって走り屋時代は「いつかの僕よ…」なんですね…でも今も輝いていますよ(^^) バイクの走りは本当に魅力的で、レールの上を走るのでなく、決まったラインも個人差
が有り、コナーは見据えた方向に向かって進む…それが魅力ですよね(*^^)vバイクのコーナーリングは芸術的で自然の法則に逆らってバランスを取って初めて倒れず曲がれる!あの感覚がすきです!(^^)!人生に似ていませんか?自由にラインを決め視線は出口に!生きるってそういう事だと思います。輝いて生きて行きたいです。レールじゃ無く自分のラインで(^^)v
アレックス
2007/12/16 09:36
 アレックスさん、やさしいお言葉ありがとうございます。僕も、そうあるように、今も輝けるように、努めていきたいと思います。形にとらわれず、自由を愛する気持ちを、いつまでも忘れたくないものです。
旅人
2007/12/16 11:04
僕も、バイク乗っていた時、当時バリバリ伝説がちょうど流行っていた時、限定解除しHONDACB750FBを、駒郡使用にし、峠を攻めていました。そのうち改造だらけのバイクに成り最後には、AMAスーパーバイク使用に納まり今思うと、良くあんな事当時遣っていたと思いました。そして、命あったと
えめさん
2008/01/17 22:20
 大型バイクで峠攻めるのって、大変でしょうね。大垂水峠では、小型、中型が主流でしたが、それでも、重大事故が多発してました。警察の取り締まりもきびしかったです。今考えると無茶してたもんです。お互い、思い出話としてこんなこと話していられることに、感謝しなければいけませんね。
旅人
2008/01/18 00:39

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