夢と冒険とロマン

アクセスカウンタ

zoom RSS 春夏秋冬

<<   作成日時 : 2008/07/18 12:08   >>

トラックバック 0 / コメント 2

 人それぞれ、自分自身の心のオアシスというようなものをもっていると思う。

 そこでなら、気持ちが休まる、

 生きていくうえでの様々な悩みや不安から解放される、

 そんな場所を。


 僕の場合、大垂水峠(おおだるみとうげ)がそれだ。

 美しい自然の中を、

 大好きなオートバイに乗って、一日中走りまわった。

 年間を通して通い続けた。

            *        *        *

 冬は冬なりにすばらしかった。


 葉を落とした雑木林の、細枝の網目を通して降りそそぐ、あふれんばかりの日の光。

 冬ならではの澄んだ空気と、その空気がつくりだす清らかな青空。

 光沢があって、しかも吸い込まれるように深いその青。

 その青を見ていると、心まで青色に染まって、

 自分自身が無限の彼方まで広がっていくような、

 小さな希望を、果てしなく追い続けるような・・・。


 白い小さなちぎれ雲は、

 こんなに圧倒的な、青のただ中で、

 その純白を保ちながら、

 平然と、

 自分のペースを保ちつつ、

 ゆったりと流れていく。

 こっちの山から、あっちの山へと、

 大きな深い谷を越えて。


 寒さは、あまり気にならなかった。

 むしろそれよりも、

 冬場に、こんな山あいで、

 走れることの喜びに、胸をおどらせていた。


 この項を、

 その当時の自分の思いを簡潔に表現した、

 次の言葉で締めくくろう。

 “俺は今、大垂水にいる。それだけで幸せ!”(1992年2月16日)

            *        *        *

 もちろん春は素敵な季節だ。


 ライダーにとって、待望の季節。

 3月20日前後の、お彼岸の頃を境に、

 オートバイの姿が、目立ち始める。

 啓蟄に、冬籠もりしていた虫たちが、

 巣穴から這い出してくるように、

 街中を走っていると、

 あっちのすみ、こっちのすみから、

 オートバイが湧いてくる。

 しまいには、道いっぱいにあふれんばかり。

 ライダーたちの喜びが道全体を輝かす。


 山には、まず山桜。

 葉を落とした雑木林に覆われた、茶色の山肌に、

 桜の花の、白いまだら模様が描かれる。

 まるで、霞がかかったよう。

 あっちの山にも、こっちの山にも。

 「こんなにも桜があったのか!」と人々を驚かす。


 桜の次は新緑だ。

 一口に緑と言っても、

 樹木の種類によって、その色は濃淡さまざま。

 浅緑色、黄緑色、

 そして、赤っぽい色の葉っぱの赤ちゃん。

 山肌は、柔らかな緑のグラデーションで、

 ふんわりと塗り分けられる。


 晩春になると、

 藤が、枝から枝へとのびた蔓に

 薄紫や、白色の

 あでやかな花房をつける。


 また山吹は、

 黄色く小さい可憐な花で、

 山裾(やますそ)を飾り立てる。

画像

         相模湖畔の嵐山。(桜の季節)

画像

         新緑の相模湖。

画像

         “美しい山”の藤。(拡大して見てね)

            *        *        *

 初夏の森は、花の宝庫だ。


 ウツギにヤマデマリ、ヤマアジサイ。

 ヤマボウシにミズキにホオノキ。

 森の木には、概して白い花が多い。


 白といえばマタタビだ。

 薄荷(はっか)のような芳香を放つ、

 梅の花を少し大きくしたような、

 白い花を咲かせる。

 そして葉も、

 この時期には、白くなる。

 この白い葉は、

 遠くの山にあっても、

 まるで、白い花の群落を見るように、

 はっきりと見分けられる。


 この季節、森では、

 このほかにも、

 たくさんの木が花をつける。

 名も知れぬ無数の花々を。


 木の葉の、生い茂ろうとする力と、

 花々の香り。

 この時期森は、

 むせかえるような生命力で、あふれている。

            *        *        *

 そして、いよいよ夏。


 山の斜面の、

 藪の中から、

 大きな花をたくさんつけたヤマユリが、

 濃厚な甘い香りをふりまく。


 森では、ネムが、

 おしろいの刷毛(はけ)のような、

 不思議な花を、咲かせている。

 まるで、妖精のお化粧道具のような・・・。


 森の木々は、

 ここぞとばかりに生い茂り、

 生命の燃焼が、頂点に達する、

 この季節を、謳歌している。


 僕らも、それに負けじと、

 生命を燃やす。

 情熱で、身を焼き尽くさんばかりに走る。

 灼熱の太陽のもと、

 オートバイから吹き上がる、熱風にあおられながら、

 走る、走る、走る。

 狂気にかられたかのように、

 走りまくる!


 大垂水峠の東京側と神奈川側に、それぞれ気温を表示するための、電光掲示板がある。僕は、そこを通るたびに、必ず温度を確認する。

 その掲示板で見る限り、峠の南側の神奈川側は、北側の東京側より、日中の気温が平均して3〜4度高かった。

 僕は、神奈川側もよく走ったが、真夏になると、35度とか37度はあたりまえだった。

 僕が憶えている限りでは、神奈川側の掲示板に表示された気温の最高値は、41度だった。(1994年8月7日、日曜日、相模湖町千木良にて)


 このような酷暑の中でも、走り続けた。

 何度も何度も行ったり来たり。

 身体は汗ぐっしょり、

 頭はボーッとかすんでくる。


 疲れが限界に近づくと、しばしの休憩。

 旭山ドライブインの駐車場に入り、愛車のエンジンを切る。

 グローブ(ライダー用皮手袋)をはずすと、

 それは汗にまみれて、トロトロしていて、手でしぼれそう。


 僕は、いつもの休憩場所、

 ドライブインの車庫(屋根付き)に入って、

 奥のベンチに、

 (仰向けに)寝っころがる。


 この車庫は、車3台くらい置ける広さだが、

 いつも、車は1台くらいしか置いてなかった。

 奥にはベンチが三つ四つ、横一列に並べられている。

 ベンチのうしろはネットが張られ、その外は、雑木林の下り斜面だ。


 ここからの眺望はすばらしく、

 遙か彼方の、麓の家々まで見渡せた。

 当時はすでに取り外されていたが、

 かつては、双眼鏡が備え付けてあったようだ。


 僕は、ベンチに横になると、目をつぶった。

 ネットの向こうの雑木林から、

 涼しい風が吹いてきて、上気した頬を撫でていく。

 うっとりするほど心地よい、その涼風(すずかぜ)。


 高校時代、柔道をやっていて、

 練習終了後には必ず、正座して黙想させられた。

 そんな時、汗ばんだ柔道着の中を、風が通り抜けていった。

 風は、たとえようもなく心地よい感触を、僕の身体に残していった。


 ちょうど、それと同じような快感に、この時僕はつつまれていた。

 右側の雑木林からは、ひぐらしの合唱や、小鳥たちのさえずりが聞こえてくる。

 目を開けて左側を見ると、真っ青な空に、白い雲が流れていく。

 こんな時、僕は思ったものだ。“天国だ”と。

画像

         旭山ドライブイン

画像

         休憩場所。

画像

         愛車(ホンダNSR250R)も休憩。

            *        *        *

 秋のすばらしさは、いうまでもないだろう。


 高尾山系は、緯度的に、

 北の植物と南の植物が、混在する位置にあり、

 植物の種類が豊富で、落葉樹も多い。

 当然、紅葉もきれいだ。


 相模湖の東側に、嵐山という名の山がある。

 この山は、全山黄色く紅葉する。

 いつか、相模湖周辺をツーリングした時、

 西日を受けた、この山全体が、金色に輝くのを見た!


 夏の日差しも、ようやく弱まってきた、

 9月上旬のある日、

 僕は、ドライブインの窓際の席で、

 食事をとっていた。


 窓の外は、広くて深い谷。

 谷の向こうには、均斉のとれた美しい山がそびえる。

 その谷を渡って、緑の風が、

 いっぱいに開け放たれた窓から、吹き込んでくる。


 その風は、

 夏の暑さで疲弊した僕の身体を、

 さわやかに吹き抜けていく。

 そして、心身にたまったあらゆるオリを洗い流してくれる。


 あとに残るのは、自然と調和し一体となった、

 わが魂と、

 清涼感に満たされた、

 わが肉体。


 僕は思う。

 なんて美しい“時”なんだろう、と。

 この“時”が、永遠にここにとどまってくれればいいのに、と。

 そして、心の中で叫ぶ、


 “時よ止まれ、おまえは美しい!”

画像

        大好きなカレーライス。窓の外には美しい山。

画像

        美しい山。

画像

        ヤマハFZR250と。ツーリングライダーから走り屋へ。

画像

        ホンダNSR250Rと。峠からサーキットへ。

画像

        カワサキZZR250と。再びツーリングライダーに。



                                      Copyright

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
旅人サマ、コンニチハ!
バイクでの春夏秋冬・・ツーリングの醍醐味・・走り屋・・
まさに「夢と冒険とロマン」の世界ですね。
残念ながら、私はバイクには乗った経験はありませんが、二十歳の時にマイカーを手に入れて以来、色々な所へドライブした思い出があります。
思えば青春時代は随分無茶をしたものですが・・結婚後はもっぱら家族ぐるみの移動になり、安全運転を心がけるようになりました。
今は「生涯無事故無違反」で通したことが秘かな誇りになりました。(笑)
ところで、旅人サマのライダーの勇姿、中々キマッテますね。
今はもうバイクには乗っていないのですか?
是非もう一度チャレンジして、現在の勇姿も見せてください。
夢見る引きこもり☆
2008/07/19 16:30
 夢見る引きこもり☆さん、コメントありがとうございます。
 ライダー姿の写真は、15〜20年も前のもので、今はただのおっさんです。(笑い)イメージダウンになるので、現在の姿をブログに掲載することについては、なにとぞご容赦を。
m(_ _)m
 ところで、
 >「生涯無事故無違反」で通した
 とのお言葉ですが、“リハビリをして運転に再チャレンジ”するという選択肢は残されていないのでしょうか?今は障害のある方向けの、非常にすぐれた機能をもった車もつくられていると聞いてますし・・・。もし、その可能性が少しでもあるのなら、ぜひ挑戦して欲しいです。何も知らない僕のような人間が、さしでがましい口をきいて申しわけありません。
 だけど、一流の作家になるという大きな目標をお持ちの夢見る☆さんにとっては、そのようなことはどうでもよいことなのかもしれませんね。それに、娘さんの運転する車の助手席というのも、けっこう居心地がいいかもしれません。
旅人
2008/07/20 01:14

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
春夏秋冬 夢と冒険とロマン/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる