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zoom RSS 春風と天使・・・その3、彼女の発した驚きの言葉

<<   作成日時 : 2008/09/09 18:00   >>

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彼女の発した過激な言葉。その言葉に驚愕し動転した旅人は・・・

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       NSRに乗る旅人。1993年5月撮影。

それまで、黙って僕の話に耳を傾けていた彼女が、

その時、突然口を開きました。

“衝突された(相手の)車の方がかわいそうですよね!”

僕は耳を疑いました。

たしかに彼女の言うとおりかもしれません。

しかし、これでは僕の立場というものがないではありませんか。

どう対応したらいいのかとまどっている僕に、

再び彼女の言葉が飛んできました。

“(相手の)車の方が迷惑ですよね!”

前よりもさらに語気を強めて、

彼女はそう言いました。

唖然として彼女の顔を見る僕。

彼女の目は、僕の目をまっすぐに見すえています。

それでなくとも、ややきつい印象のある彼女の顔がいっそうきつく見えました。

それからあとは彼女の独壇場でした。

彼女はやつぎばやに、吐き出すように言い放ちました。


“オートバイなんて、ぜんぜんかわいそうじゃない!”

“みんな死んじゃえばいいんだ!”

“あたし大っきらいなんです!”

“ツバを吐きかけてやりたいくらいきらいなんです!!”



僕はぼうぜんとして立ちすくんでいました。

頭の中は真っ白でした。

しばらくして僕の脳裏に、

以前目にしたある光景が浮かんできました。

それは峠道の事故現場に花を手向けにきた人々の姿でした。

故人の親族や友人たちでしょう。

高校生らしい姿が多いことから故人の年齢が察せられます。

彼らは、ただ黙々と死者に弔意をささげていました。

その様子を目にした僕は、

その時、あらためて人ひとりが亡くなるということの重みを感じさせられたのでした。


そうしたことを思い出すうち、

僕の心の中に、

“彼女に反論しなければ”という思いが湧き起こってきました。

たしかに彼女の言うことは正しい。

悪いのはオートバイの方です。

そのことについては弁解の余地はありません。

しかし事故を起こした当人は、

たとえそれが自業自得であるにせよ、

とにかく、一つしかない大切な生命を落としてしまっているのです。

その非行に対して十分過ぎるくらいの報いを受けた者に、

なぜ、そのうえさらにムチを加えるようなことを言わなければならないのでしょうか。

僕は決心しました。

彼女にこう言ってやろうと思いました。

“ずいぶんきついことを言うんですね”と。

僕は彼女の方に向きなおりました。

そして、口を開こうとしました。


 “・・・・・・・・・・”


言葉が出ない!

何度こころみても言葉が出てこないのです。

そこで僕は、一計を案じました。

“彼女の目を見るからいけないんだ”

“彼女と反対の方に顔を向けて”

“ふり返りざまに言ってやろう”

僕は彼女と反対の方を向き、

勢いよくふり返りました。


 “うっ・・・・・・・・・・” 声が出ない!


 もう一度!

 再び彼女と反対方向を向き、

 勢いよくふり返ります。


 “うっ・・・・・・・・・・” またダメだ。


 もう一度!


 “うっ・・・・・・・・・・”


 もう一度!


 “うっ・・・・・・・・・・”


 もう一度!


 “うっ・・・・・・・・・・” ちくしょう何度やってもだめだ!



何度かこころみたあげく、

ついに一言も発することができないまま、

とうとう僕は言うのをあきらめてしまいました。

彼女は黙ったまま僕の目をまっすぐに見ています。

気まずい沈黙が続きました。続く

画像

件のバイクショップ(現在は廃業)。シャッターの前あたりで、旅人と見知らぬ女性ライダーの壮絶な戦いが繰り広げられた。2010年3月13日撮影。



 春風と天使・・・その1、初心者ライダーから走り屋へ
 春風と天使・・・その2、峠の楽しみ〜女性ライダーとの出会い
 春風と天使・・・その4、彼女の秘密〜そして大団円へ


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