夢と冒険とロマン

アクセスカウンタ

zoom RSS 思いさまざま

<<   作成日時 : 2009/02/09 18:03   >>

トラックバック 0 / コメント 8

 今回は、日頃のいろいろな思いを書いてみたい。

 まずは、ロビンソンの次の詩から。



 いつか、ひとりで森をさすらっていた時、

 一人の老人が私の方によろめいてきて言った、

 「来て下さい、君、墓を見てやって下さい、

 アマリリスのために私が掘った墓穴を。」

 彼の愬える(うったえる)声がひどく震えて悲しげなので、

 私は老人に憐れみを感じて彼の言葉に従い、

 長い間たたずんで見つめた − 彼の手で

 骨と皮ばかりに萎びた老婆を埋めた墓穴を。


 森の外遙か彼方に私は聞くことができた −

 声高い進歩の呼び声と、きわだって高らかに

 商売の絶え間ない叫びのはっきり鳴り響く音。

 だがたとえ世界中のラッパが鳴り渡って喜んでも

 私は寂しかった、私は悲しかった −

 アマリリスが老い果てたことを思うと。


   エドウィン・アーリントン・ロビンソン「アマリリス」(大和資雄訳)



 この詩は、

 まだ母が元気だった頃から愛読していたものだ。

 その当時僕は、

 母が亡くなる時は、こんな思いになるのだろうかと、

 密かに恐ろしい気がしていた。

 しかし、実際に怖れていた事態(昨年8月の母の死)が発生してみると、

 それとは比較にならないほどの激しい苦しみを味わうことになった。

 なぜなら、アマリリスは、

 夫に愛され、

 その夫に見守られながら、

 幸福な最期をとげたと思われるからだ。

 それにくらべ母の場合は、

 身内に冷たい態度をとられながらの、

 無念の最期だったのだ。

            *        *        *

 メメント・モリ(死を思え)


 これは、今から2千年くらい前の、

 古代ローマ遺跡の床に描かれたモザイクに記載されていた、

 有名な文句だ。

 “人間はいつか死ななければならない。そのことを忘れるな。”というほどの意味である。

 この文句は、酒瓶を持ったガイコツの絵のわきに記載されていた。

 このモザイク画が、

 こんなふうに(ガイコツ=死)ならないうちに、

 人生を大いに楽しんでおけと言っていることは明らかだ。

 このような思いから、

 古代ローマ人は享楽に耽ったのかもしれない。

 すなわち、彼らの“生”は、

 死の恐怖に支配されていたのではないかと思う。

            *        *        *

 “死”に対するとらえ方は人さまざまだが、

 死を意識するがゆえに、

 (古代ローマ人のように)享楽に走る人々もいれば、

 “命には必ず終わりがくるのだから、

 そして、それは決して遠い先の話ではないのだから、

 われわれは無駄な争いはせず、

 互いに愛し合いながら、

 今という時間を大切にしていかなければならない。”
 というように、

 死をポジティブにとらえ、

 それを活力にして、

 人生をより意義深いものにしていこうという、

 前向きな考え方をする人々もいる。


 自分はというと、

 それまで、

 “この世で最も美しいものが見たい”とか、

 “真実が知りたい”とか息巻いていたが、

 自分にとって太陽(亡くなってから気がついた)であった母を失ってみると、

 自慢の教養(笑)もどこへやら、

 美も、真実も、世界も、宇宙も、もはやどうでもよくなって、

 カオスの漆黒の闇に投げ込まれ、

 出口どころか、

 ひとすじの光明さえ見いだせないでいる。

 だが、最低限、

 人間としてのプライドだけは失っていないつもりだ。


 ちなみに、

 1974年に東京で多摩川水害というのがあり、

 多くの家が川に流された。

 この災害は、「岸辺のアルバム」と題してテレビでドラマ化され、

 日本全国の人々の心をとらえた。

 この水害で被害に遭われ、

 家財を失った方がもらされたあるひとことが、

 今も印象に残っている。

 曰く、

 「それまでは、高価な食器などは来客用にと、普段使わないでいたが、

 あの水害のあとは、どんなものでもかまわず使ってしまおうと思うようになった。」

 これが良いことなのか悪いことなのかは別として、

 気持ちはわかる。

            *        *        *

 以下に掲げる写真は、いずれも10年以上前に撮影したものだ。

 1枚目の写真、ちょっと面白いでしょ。

 お店のシャッターにネコの絵が描かれていて、

 その右斜め上に本物のネコが寝ている。

画像

        よかったら、画像をクリックして拡大して見て。

 このお店の隣の民家に、

 夏ミカンの木が一本植わっていて、

 名残の実がいくつかついていた。

 当時、まだ庭に夏ミカンの木を植えている家は少なかったので、

 この木は僕の目にとても珍しいものに写った。

画像

        夏ミカンの木。

 ところで、僕は柑橘類が好きだ。

 果実の姿も、色も、

 味も、香りも。


 一般的に柑橘系の香りは、

 人の心を明るくさせる効果があると言われている。

 しかし、それだけではなく、

 柑橘系の果実のオレンジ色も、

 希望があふれてくるような、

 人の心を高揚させる色だと思う。


 僕はこの夏ミカンの実を、

 心の中でオレンジだと思うことにしていた。

 ドイツの文豪ゲーテの詩に登場する、

 黄金色(きんいろ)のオレンジだと。



 Kennst du das Land ・ ・ ・ 

 あなたはご存じでしょうか? あの国を、

 そこではレモンの花が咲き、

 小暗き(おぐらき)葉陰(はかげ)には、

 黄金色(きんいろ)に輝くオレンジが実っています。

 青空からは、さわやかな風が吹いてきて、

 ミルテはやさしく立ち、

 ローレル(月桂樹)はたくましくそびえています。

 (以下略)


   ゲーテ「ウィルヘルム・マイステルの修行時代より、『ミニョンの歌1』の冒頭部分」(旅人訳)



 この歌は、作中でミニョンという少女が歌っているものだ。

 彼女はドイツで生活しているが、

 もともとはイタリアの出身で、

 寒いドイツにいながら、

 暖かいふるさとイタリアに熱い思いをはせている。

 彼女にとってオレンジは、

 その南国イタリアの象徴であり、

 同時に希望の象徴でもある。

 ゲーテは、自らの心の中にひそむ思いを、

 ミニョンを通じて明らかにしているのだ。


 僕はこの歌が好きで、

 ミニョンのように、

 オレンジに夢や憧れのイメージを抱いていた。

 そして、身近なところにある夏ミカンを、

 そのオレンジの代用としていたのだ。

 すなわち、僕にとって夏ミカンは、

 夢や憧れの象徴なのだ。



 僕はこの木を眺めては、

 未来への希望に胸を熱くしたものだった。

 それは希望とはいっても、

 とりとめのない、何か漠然としたものであったが ・ ・ ・
 
画像

        漠然とした希望に胸を熱くしていた、会社員旅人。(笑)

            *        *        *

 今、僕の心を支えてくれているのはオートバイだけだ。

 とにかく、オートバイにまたがっているあいだだけは、

 “生きている”という実感がある。

 しかし、残念ながら冬はあまり乗れない。

 しかたないので、いつも多摩川沿いを軽く流している。

画像

        多摩川。

画像

        多摩沿線道路。

 走った日は、ご飯をたくのが面倒なので、

 夕食は弁当になることが多い。

 ということで、

 2月7日の夕食は、五色豆ごはん。

 気分を明るくさせてくれるミカンもそえた。

画像


 こんなわびしい生活をおくっている旅人だが、

 まったく希望を捨てているわけじゃない。

 希望なしじゃ、

 人間生きられないからね。

            *        *        *

 ★おまけ

 僕は以前ブログに、

 フレンチポップスが好きだと書いたことがある。

 先頃、そのフレンチポップスの貴重な動画が手に入ったので、

 紹介しようと思う。

 曲目は、ヴィッキーの「恋はみずいろ」と、

 フランス・ギャルの「夢見るシャンソン人形」。

 ともに、1960年代後半にヒットした曲だ。

 なかでも「恋はみずいろ」は、

 おそらく1968年(昭和43年)の映像だと思うが、

 当時としては珍しいカラー映像。

 ヴィッキーの八頭身のスタイルと、

 ミニスカートからのびたすらりとした長い足が魅力的だ。

 ヴィッキーは、その当時18才くらいだったが、

 この映像を見る限り、

 40年前の18才も、

 今の18才も、

 あまり変わらないように思う。


 
      ヴィッキー「恋はみずいろ」


  フランス・ギャル「夢見るシャンソン人形」


にほんブログ村 その他ブログへ
にほんブログ村



                                        Copyright

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
(*・ェ・*)ノ~☆コンバンワ♪
みましたよぉ!
ネコのシャッターの横にいるなんて♪
面白い写真撮れましたね〜(^◇^)

走ってきたんですね♪
天気が良くてよかったですね(^^)
北海道も1ヶ月で走れるんじゃないかな。
月子
URL
2009/02/10 02:25
旅人さん、コンニチワ!
今回は、文学色豊かなブログになりましたね。
肉親の死を・・しかも最愛の母親の死を、ポジティブに捉えることなど出来なくて当然です。あとは時間が徐々に和らげてくれるのを待つしかないでしょう。
そうそう、「恋はみずいろ」と「夢見るシャンソン人形」の歌、ついでにじっくり聴かせて頂きましたよ。懐かしいですね〜。(笑)
ところで、「岸辺のアルバム」としてドラマ化されたあの多摩川の水害、もしかして旅人さんのご自宅の近くだったのですか?
だとしたら、やはり以前我が家が住んでいた場所からそう遠くない(現在の住まいからも遠くない)距離ということになります。
尤も、多摩川の水害があった当時、我が家はまだ関西にいたので、詳しいことは知りませんが・・
今思えば、ドラマ化された丁度その時期、東京に移り住んだことになります。
今回は、若かりし頃の旅人さんのネクタイ姿まで拝見することが出来て、また新たな「人となり」に触れたような気がします。ありがとうございます!
夢見る引きこもり☆
2009/02/10 16:23
Memento moriは
西洋の宗教絵画で好まれたテーマのひとつですね(^^)

始めの頃は、何で女性が頭蓋骨抱いて
憂鬱な顔してるかだなんて
理由、考えた事なかったんですけどね^^;

ちなみに会社のPCなので
消音なんですよね(T_T)

よっち
2009/02/10 17:01
 月子さん、こんばんわ。

 ネコのシャッターの写真は、何年も前に撮ったものなのですが、面白い写真なので、ほかの人にも見てもらいたくてブログに掲載してみました。寝ているネコは、周囲の赤系統の色に合わせたかのように赤っぽい茶色と白のブチで、まるで誰かがコーディネイトしたみたいです。(笑)

 あと一月のガマンですか。
 札幌あたりでも、最近はプラスの気温が多いみたいで、雪さえなければ走れそうな感じですよね。
 早く月子さんのツーレポが読みたいなあ。
旅人
2009/02/10 19:33
 夢見る引きこもり☆さん、こんばんわ。

 母の死についての僕の思いは、単に愛する人との別れに伴う悲しみや怒りというだけではなく、この世そのものに対する幻滅という側面も含んでいますので、自分で言うのはなんなんですが、回復への道には厳しいものがあるような気がします。

 フレンチポップスは、夢やロマンを感じるので好きです。

 多摩川水害は、当時すぐ近く(今でも近い)に住んでいたので、堰を爆破するダイナマイトの爆音や振動がすごかったのを、今でもよく憶えています。

 職場での写真は、イメージダウンになるのではないかと不安だったのですが、夏ミカンを希望の象徴として考えていた頃の、自分のありのままの姿なので、思いきって載せてみました。
旅人
2009/02/10 20:30
 よっちさん、こんばんわ。

 “Memento mori”という言葉については、よっちさんは普段からその教訓に則した生き方をされていると思います。
 なぜなら、いつかよっちさんが、「“あの時こうしておけばよかった”とか言うのは大嫌い」と言ったのを聞いたことがあるからです。その時僕は、よっちさんという人は、迷ったり、尻込みしたりして後で後悔するより、失敗してもいいから思いきってやってみようという人なのだなと思いました。
 これは死を意識することで、後悔しない人生を歩もうという、“Memento mori”の精神に則した生き方だと思います。

 You Tubeのことは気にしないでください。
 あくまでも、おまけですから。
旅人
2009/02/10 21:14
旅人さん、今日は〜♪
今回も、内容満載の日記ですねぇ.。o○
お母様のこと〜ずっと、引きずっていらっしゃるのですねぇ☆彡
元気をだして、振り切ってあげないと〜いけませんでしょ
「会社員旅人」さんって、可愛かったのですねぇ(笑)
さぁ〜お互いに健康に気をつけて、精一杯生きていきましょう
・・・私のことかな(笑)
つんちゃん
2009/02/16 11:43
 つんちゃん、こんばんわ。

 母のことについては、自分自身の生きる環境が具体的に整って、明日への展望が開けるようになるまでは、引きずり続けると思います。
 母がこんな自分を見たら、怒るのは間違いないのですが。

 職場での写真はお恥ずかしい限りです。苦労知らずの顔してますね、この頃は。

 つんちゃんのコメントに、いつもながらのたくましい生命力と、逆境に苦しむ者への思いやりを感じました。
 つんちゃんだって、本当はお母様の介護などで大変なんですよね。でも決して弱音は吐かれない。
 その心の強さが、逆運を寄せつけない要因なんだと思います。
 あやかりたいです。
旅人
2009/02/16 23:21

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
思いさまざま 夢と冒険とロマン/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる