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zoom RSS 僕にとって教養が必要な理由

<<   作成日時 : 2018/06/24 22:19   >>

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僕は二十歳くらいの頃、

“この世界の真実が知りたい、この世で一番美しいものが見たい”

と思うようになった。

そんな時、あるラジオ番組で、“歴史上の人物で一番頭がいいのはゲーテである”という話を聞いて、さっそく書店に向かい、彼の「ファウスト」という作品を買ってきた。

「ファウスト」は戯曲形式の文学で、中世の老いた学者ファウスト博士が、突然現れた悪魔(メフィストーフェレス)と契約を結び、死後に自身の魂をその悪魔にゆだねることを条件に、若い肉体を手に入れるところから始まる。

長年培ってきた知性と教養に加え、若い肉体まで手に入れた彼は、“美と真”を求めて時空を超えた冒険の旅に出るのだった。

彼は、中世ドイツで、貧しくも心清らかな娘マルガレーテと恋に落ち、古代ギリシア世界を巡っては、世界一の美女ヘレネーや異形の者たちとの出会いを果たす。

このようにして、“美と真”に近づくための旅を続けるファウストだが、中世ドイツで恋仲になったまま放置していたマルガレーテは、その恋によって傷つき、精神のバランスを失った結果、天国に召されてしまう。

そのような罪を犯しながらも、ファウストはその旅によって“美と真”の世界をきわめていき、最後には、蓄積された莫大な知的財産を元手に、人類の救済にもつながるような大事業に乗り出す。

しかし、その事業が完成した時には、悪魔から手に入れたファウストの第二の肉体も、すっかり老い果ててしまっていた。

いまや死を待つばかりの彼。

その死後には、以前に結んだ契約により、悪魔に魂を奪われるという運命が待っている。

しかしながら、死を迎えた彼の元にやって来たのは悪魔ではなかった。

やって来たのは、彼によって死に追いやられたマルガレーテだった。

彼女はファウストを抱きかかえると、まっすぐに天に昇っていった。

ファウストは罪を犯しながらも、大事業によって人類に貢献した功により、かつて愛し、今も愛しているマルガレーテの導きにより、天国に昇ることを許されたのだった。



この「ファウスト」という作品は、僕の世界観を一新し、その領域を大きく広げてくれた。

その後、僕はギリシアの古典文学を中心に多くのヨーロッパの古典文学を読み、主なものはほとんど読んでしまった。

そして、現在では若い頃抱いていた、

“この世界の真実が知りたい、この世で一番美しいものが見たい”

という願望について、

“この世界の真実にふれ、この世で一番美しいと思えるものに出会えた”

と言えるところまで来たと思っている。


ちなみに、

僕が、

“世界で一番真実に近く、この世でもっとも美しい”

と思っているものは、

次の三つの著作だ。


プラトン「ソクラテスの弁明」
ソフォクレス「オイディプス王」
アリストファネス「鳥」




欧米の先進国では、高級官僚のようなエリートになろうとする者の進学する学校が決まっている。
エリートの卵たちは、そこでギリシア語やラテン語を勉強させられ、ギリシアやローマの古典を読まされるのだ。

なぜなら、国家の命運を左右するような重要な判断を迫られる可能性のあるエリートたちには、目先の利に惑わされない大所高所からの判断力が要求されるのであり、そのためには、古代ギリシア・ローマの偉人たちの偉大な足跡や英知を記したそれらの古典を学ぶことによって得られる、高度な倫理感や物事の本質を見抜く目が必要となるからだ。
そのようにして養成された人間にしてはじめて、状況に応じた的確な判断ができるというわけなのだ。

これは、ギリシアやローマの古典に親しむことにより、個人として“美と真”に迫れるというだけでなく、真に社会の役に立つ人間にもなれるということ。



僕は、これまで、そんなギリシアやローマの古典を学ぶために生きてきたと言っていいし、今では、それをほぼ完全に制覇したとさえ思っている。

いろいろな問題についての判断力は世界最高レベルだと思っているし、それらについて、世界の誰と議論を戦わせても負けない自信がある。

しかし、
かと言って、僕が優秀な人間なのかというと決してそうではない。

逆に、あらゆる能力において、平均以下の人間なのだ。

僕は、さまざまなハンディーなど、ネガティブ要素は抱えきれないくらい授かっているものの、能力などのポジティブ要素についてはいっさい授からずに生まれてきた。

いわば、生まれながらの“ドン亀”なのだ。

そのため、僕の人生は難行苦行の連続だった。

普通に生きていくだけでも、大変な努力が必要だった。

しかし、その生きていくうえでの絶えざる労苦や努力のおかげで感覚が鋭敏になり、思考も活発になって、結果的に普通の人よりアンテナを高く上げることができるようになった。

その高いアンテナを活かして、一番大切なものは何なのかを追求している過程で、“美と真”の探求に思いをいたすようになり、必死の努力の結果、それをきわめたと言えるようになったのだ。

要するに、僕のように生まれつきの能力が低い亀でも、探究心を失わず労苦と努力を重ねながら、良書に親しんで物事の本質を見抜く目を養いさえすれば、誰でも世界最高峰の知にふれられるということ。

ただし、24才までに着手しないとダメだけど。
人間、25才をすぎると頭がかたまって、“攻め”ではなく“守り”に入るようになるので、発展性がなくなるのだ。



以上のように、
僕は世界最高峰の知にふれることができたのだった。

少なくとも、自分ではそう思っている。


でも、それがどうしたっていうんだろう?

全然幸福じゃないし。

第一、蓄えた知識を吐き出す場がない。

他の人と意見交換したくても、そんなことが可能な相手など、どこにもいやしない。

世の中が便利になるにつれ、人間は年々ものを考えなくなってるし。

誰とも話が合わなくて、僕は孤独になる一方だ。

みんなが、驚いたり、喜んだり、感動したりしていることも、僕にとってはすべて想定内で、珍しくも何ともない。

そんなの全部卒業済み。

一方、
僕の知的財産が、普段の生活や仕事に直接的に役立つかというと、それもない。

本来、僕が持っているような大所高所からの判断力は、とても有用なもののはずなんだけど、世の中すべて目先の利益だけで動いているので、僕の能力などまったく必要とされないのだ。

僕にできるのは、目先の利益にとらわれた結果起きるたくさんの悲劇を、ただ見ていることだけ。

ほとんどカッサンドラ状態。

結局、自分の幸福につながるわけでもなく、社会の役に立てるわけでもなく、僕が苦労して身につけた知的財産なんて、単なる自己満足にしかなっていないということなのだ。


では、

いったい何のために、

僕は仕事や日常生活をおろそかにしてまで、

夢中になって、

なけなしの能力をふりしぼって、

ただむずかしいだけで役にも立たない知識を、

追い求めたんだろうか?


世の中で起こることには、

必ず理由があるものだが、

いったいどんな理由があって、

そんなことに首を突っ込んだのか?


その必然性たるやいかに?


最近、そんなことを考えるようになった。


で、

考えるうちに、

うっすらと答えのようなものが見えてきた。


それは、


“生きるために必要だったから”


すなわち、

あまりにも過酷な人生ゆえに、

何か大きな支えになるものがないと、

僕は生きてこれなかったのだ。


僕が生きていくためには、

“世界最高峰の知”という、

巨大で頑丈な“つっかえ棒”が必要だったのだ。


逆に言えば、

世界最高のつっかえ棒を必要とするほど、

僕の人生は世界最低だということ。


確かにそう思う。


このような知的財産が得られなかったら、

僕はマジで生きてこれなかっただろう。


劣等感に苦しみつつ、

吹き続ける強烈な逆風で、

衰弱死したか、

キレて自爆したか、

どちらかだったろう。


世界最高峰の知という、

つっかえ棒があったからこそ、

自らが生きることの正当性を捻出できたし、

他者に対する優越感という、

人が生きるうえで追い風になりえる重要な栄養も、

摂取することができたのだ。


ということで、

僕が世界最高峰の知を求めて努力を続けたのは、

無意味なことではないことがわかった。


でも、

いまだに納得がいかない部分もある。


それは、

どうして僕が、

そんな豪華な、

ダイヤモンドのようなつっかえ棒が必要なくらいの、

世界最低レベルの、

みじめな人生を歩まなければならなかったのかということ。


そこのところが理解も納得もできない。


まあ、

そんなことを理解したり納得するなんて、

世界中の誰もできやしないだろうけど。


単に、

そういう運命だったということに、

すぎないんだから。


もし、もう一度生まれてこれるとしたら、

世界最高峰の知とかいらないから、

ダイヤモンドのつっかえ棒なんていらないから、

つっかえ棒がなくてもすむような、

楽な人生を生きたい。






◎余談

○4月下旬から腰が痛くなって、いまだに治らない。

○車のエアコンが壊れて、修理に4万かかった。

○パソコンに障害が起き、電源が切れなくなったり、かってにシャットダウンしたりと、怪奇現象状態になってる。
 ブログはスキをねらって書いた。


一生涯、悪いことしか起こらない、僕の人生。







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